2006年03月20日

思い出のCBGB2 ~孤独の旅路~

 ニューヨークでベトナム料理を食べている時点で東京と同じだ、と書いていて思う。

 旅とは不安とともにいることだと私は思う。
 夜のニューヨークをひとりで歩くのはこわい。不安である。暴漢に襲われはしないか。フリーズをプリーズと間違えやしないか。などなど。
 だが旅をしていて(そんなにしたことはない)私が感じる不安は、そういう物理的なことではない。もっと形のない曖昧な不安だ。
 
 べつに旅をしなくても感じてはいるのだが、旅をするとその不安の輪郭がはっきりする。つまりそれは、孤独ということだ。当然だが周りは他人しかいない。私に何の関心もない。ここで私がのたれ死のうが、それはそれ。なぜかそういう身も蓋もない想像が、旅をしていると私の中でふくらむのである。しかしそれは、べつにいやな感じというわけでもない。いやだけど。

 CBGBには簡単にたどり着いた。季節が冬で寒かったせいか、通りには人が少なく寂しい印象が残っている。
 やはり中に入るまでに時間がかかる。気持ちの準備というか、びびっているというか。いざCBGB。
 思ったよりも狭い。というかかなり狭い。扉を開けると、入って左がバーみたいになっている。タバコの煙がすごい。本当にタバコか、これ?
 右側は壁になっていて、まだステージは見えない。壁をつたって歩いていくと、切れ目のところから右側にステージが広がっている。

 MOTHER FUCKER!!!!!!!!!!!!

 デボラ・ハリーみたいな、金髪でミニスカートのいかつい女が、センタースピーカーに片足を乗せてそう連呼している。そう連呼している。まだ連呼している。まだまだ連呼する。終わりそうにない。
 次の瞬間、私は扉を開けていた。こわくってこわくって扉を開けていた。 滞在時間3分くらい。 
 外の空気はおいしかった。あー、こわかった。
 
 あまりの恐怖体験に思考がうまく働かない。とにかくこわかった。なんか変なもんをみてしまった。
 でもここは私の想像通り、いや想像以上の場所だった。あの女の絶唱は忘れない。人通りの少ない道で耳をすますと、扉の向こうでは

 MOTHER FUCKER!!!!!!!!!!!!

 まだ連呼している。というか、それしか言ってない。

 この旅で私は、またしても他人との断絶を感じた。やっぱ孤独だ。というかあんなやつと分かり合えるわけがない。

 ニューヨークにおける東京では体験できなかったことは、CBGBにあった。

 FOREVER CBGB,MOTHER FUCKER!!!!!!!

 



 
posted by カフニ at 00:08| 東京 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
すこし埃っぽい地下の空気を想起いたしました。
Posted by SXY at 2006年03月22日 00:49
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